きっかけは、たまたま観た韓国映画『ゴールデンスランバー』。
次期大統領選の有力候補者への爆弾テロ事件に、
突如巻き込まれ
犯人に仕立てあげられた主人公の逃走劇。
韓国映画らしい派手な爆発シーンや、
スカッとするラストシーンに目が奪われがちだけど、
日本映画のリメイク版であり、原作者は伊坂幸太郎ということなので、
本も読んでみようと思い図書館へ行った。
作者・伊坂幸太郎の名前に聞き覚えがあるなーと思っていたら、
この『フィッシュストーリー』と同じ作者だった。
原作は当たり前だけど日本が舞台で、
首相が地元仙台に凱旋パレードをしている時に、
爆弾テロで暗殺されるというもの。
そして、
学生時代の仲間に呼び出され現場近くにいた主人公・青柳が、
犯人として追われることに。
気の良い青年・青柳を犯人とする大がかりな仕掛けと、
煽る報道。
国家レベルの陰謀から必死に逃げる青柳と、
手を差し伸べる仲間たち。
韓国映画のスカッとするラストとは違うけれど、
じーんとする結末が良い。
映画の時には派手な爆発シーンに気をとられて気づかなかったが、
本を読んでいると、
あまりにも安部元総理銃撃事件と似ているので、
予言の書かと思った。
現実は犯人も動機もハッキリしているのだけど、
小説の中で国家情報管・佐々木が言う。
『背景があるように見せかけることはできる』
『君は犯人だが、憎むべき、おぞましい人間ではない。許されはしないが、同情できなくもない。そういう犯人像にする。』
『イメージとはそういうものだろ。』
ここまで来ると、かつての同級生・森田が言っていたように
『馬鹿でかい鯨に襲われたら』『いちばん賢いのは』
『逃げること』。
息子を信じる父親が詰めかけた報道陣に言う。
『名乗らない、正義の味方のおまえたち、本当に息子が犯人だと信じているのなら、賭けてみろ、金じゃねえぞ、何か自分の人生にとって大事なものを賭けろ。』
『自分の仕事が他人の人生を台無しにするかもしれねえんだったら、覚悟はいるんだよ。バスの運転手も、ビルの設計士も、料理人もな、みんな最善の注意を払ってやってんだよ。なぜなら、他人の人生を背負ってるからだ。覚悟を持てよ』
テレビのコメンテーターや専門家に聞かせたい。